今回の仕入れも無事終え帰国した。ふぅ… 毎晩11時頃まで明るく、雨一つ降らない晴天に嬉しくなりついつい時間を忘れ仕事に没頭してしまった… そんな時間のズレが今も続き、元に戻るまでもう少し時間が掛かりそうだ。そして今回、仕事とは別に家具デザイナーとして有名な巨匠フィンユールに出会えたような…とても貴重な体験をすることができた。
深い緑に囲まれた閑静な住宅街にオードロップゴー美術館というのがある。一見、見過ごしてしまいそうなエントランスからは想像もつかない建物と絶妙なアプローチ、、、それらは何か景観との有機的な結びつきがあるようにも思えた。
その隣にひっそりと佇む白い建物がフィンユール邸である。そして今回、彼の自邸が公開され、館内では椅子など作品が展示されているといった、この上ない機会だったのだ。家具デザイナーとしてまた彫刻家と称される彼の織りなす造形美というものは、建築にも反映されているのだろうか、それとも建築からこれらのような作品たちが生まれたのか、何れにしても興味のあるところだった。とある映画をこれから観るように、、、幸い平日だったこともあり人はまばらでゆっくりと邸内を鑑賞することができた。彼が若くして設計したとは思えないくらい簡素で、どこか日本的な要素も含まれているような… 僅か数時間のことではあったが、観終わったあといろいろ考えさせられるものがあった。ハリウッド映画のように完結するものではなく、エンドロールを観ながらこの作者は何を言おうとしていたのか… 意図的なものがあったとすればそれは何なのか…
その後、ミュージアムの誰もいないオープンテラスでひとりコーヒーを飲みながら余韻に浸っていると、今にもフィンが現れるのではないか、はたまた隣のテーブルに座っているかのような、そんな錯覚に陥ったのだった。
オードロップゴー美術館
http://www.ordrupgaard.dk/
フィンユール邸見学は2008年4月3日〜8月31日まで。
美術館の開館時間内であれば、展覧会とフィン・ユール邸のどちらも見学可能。